神奈川県西部に位置する山北町には、「県民の水がめ」とも呼ばれる三保ダム(丹沢湖)があります。また、町面積の9割を占める森林も「緑のダム」として雨水を土壌に蓄えるなどして都市部への水道水の安定供給を陰ながら支えています。
今回は、「水源地」として県民の生活を支えている三保ダムの成り立ちと、森林の役割について紹介していきます。
1978年に完成した「丹沢湖」
三保ダムは、山北町のほぼ中央部に位置し、酒匂川上流の河内川と玄倉川、世附川の合流地点で水を蓄えています。
神奈川県などによると、着工は1974年。事業費約823億円を投じて1978年に完成しました。
ダムの建設によって五つの集落が水没。そこで生活していた223世帯1026人が補償を受け取った上で移転し、小・中学校や保育園、役場支所などは湖の底に沈みました。
ダムの竣工によって誕生した人造湖は「丹沢湖」と命名され、総貯水容量は6490万㎥。
雨の多い時期(6月15日~10月15日)には洪水対策のため、水位を下げて容量に空きを作り、下流に流す水の量を減らして調節します。
水道用の水はダムから27.7キロ下流の「飯泉取水施設」(小田原市)で取水され、1日に最大約180万㎥の水が横浜市や川崎市などの都市部に供給されています。
神奈川県内最大の森林面積
水を蓄えているのは丹沢湖だけではありません。町面積の9割を占める森林もしっかりと雨水を土壌にとどめ、川の洪水や氾濫を抑えてくれています。
林野庁によると、森林には「多面的機能」と呼ばれるさまざまな機能があります。その中にある「土砂災害防止」「水源涵養」などの機能によって「緑のダム」としての役割を果たしてくれています。
また、雨水が豊かな土壌を通ることでミネラル豊富な水の供給にもつながると言われています。
山北町の森林面積は約2万ha。県内の市町村で最も広い面積を有します。
蛇口をひねれば当たり前のように出てくる水道水ですが、山北町の豊かな森林はその供給に欠かせない存在でもあります。
今回は、県民の生活に欠かせない水道水の供給源として陰ながらその役割を担っている山北町の三保ダム(丹沢湖)の成り立ちと、広大な森林の役割についてまとめてみました!