一般社団法人かながわ福祉居住推進機構が実施した自治体アンケートから、空き家・空き店舗の活用事例を紹介する企画第三弾。
今回は、かつて宿場町として栄えた福井県若狭町の「熊川宿」で古民家を改修し、文化体験型の宿泊施設として活用している「八百熊川」の取り組みを紹介します。
かつての宿場町に空き家問題
若狭町は福井県の南西部に位置し、人口は約1万4千人。2020年の高齢化率は36.4%で少子高齢化が進んでいます。
「熊川宿」は、江戸期を中心に京都などの近畿地方との交易を通じて宿場町として栄えました。
その町並みは国の「重要伝統的建造物群保存地区」に登録されていますが、近年は空き家問題も発生しているといいます。
地元出身者の熱意
そこで空き家活用に乗り出したのが株式会社「デキタ」という民間企業でした。
福井新聞の記事などによると、2011年に東京で創業した同社は、社長の時岡壮太さんが福井県出身という縁があり、2018年に「熊川宿」にあった築約130年の古民家を改修してシェアオフィス「菱屋」を開設。財源には、地域資源を活用した事業の立ち上げを支援する総務省の「ローカル10,000プロジェクト」を活用したそうです。
その後本社を同町に移転し、2020年には一棟貸し切り古民家宿「八百熊川」をオープン。「八百熊川」では、かまどを使った食文化体験や、地域団体と連携し地元食材を使った食事の提供などにも取り組んでいます。
2021年には町の特産品を扱うECサイト「八百熊川ストア」も立ち上げ、食文化の情報発信や地域経済の循環にも努めています。
地元出身の時岡さんの熱意と、その思いを受け入れた若狭町の地域住民の協力によって、かつての宿場町に活気を取り戻そうとする事例紹介でした。